デーモンの仕組み

デーモン・プロセス

他のプロセスにサービスするために、長時間バックグラウンドで動作しているプロセスがデーモンです。

デーモン・プロセスの起動方法には大きくわけて2種類あります。

OSが立ち上がった時に起動されて、それ以後動作し続けます。
/etc/init.d/ (Debianの場合、RedHatでは /etc/rc.d/init.d、以下同様) の下にデーモンをコントロールするファイルがあり、 /etc/rc[0-6].d/ (Debianの場合、RedHatでは/etc/rc.d/rc[0-6].d、以下同様) の下においたシンボリックリンクで OSのrun levelに応じてデーモンの起動・停止をコントロールされます。
[例]sendmail, apacheなど
クライアントからの要求があったときに初めて、スーパーサーバデーモン(inetd, xinetdなど) 経由で起動されます。そのクライアントとの接続が切れた時に、そのデーモンは停止されます。
[例] rlogind, telnetdなど

今回は、前者の「OSが立ち上がった時に起動されて、それ以後動作し続けるデーモン」について説明します。

OSの run level とデーモンの起動

OSのラン・レベル(run level、動作レベルのこと) には Linux では 0 から6まであります。それぞれの run level でどのデーモンが起動されるか、停止されるかが決められています。

RedHat系Linuxの場合

run level	configuration as default
0	システム停止
1	シングル・ユーザ・モード
2	マルチユーザ設定(NFSなし)
3	マルチユーザ設定(テキスト・ログイン)
4	--- (未使用)
5	マルチユーザ設定(グラフィカル・ログイン)
6	リブート

Debian系Linuxの場合

run level	configuration as default
0	システム停止
1	シングル・ユーザ・モード
2	マルチユーザ設定
3	ランレベル2と同じ
4	ランレベル2と同じ
5	ランレベル2と同じ
6	リブート

ランレベルは /etc/inittab というファイルで定義されています。 Debian系ではランレベルの差がほとんどありませんが、これは、 Debian系Linuxでは「いらないソフトウェアはそもそもインストールしない」 →「インストールされたものは全て必要なもの」という方針なので、ランレベルによる使い分けをしないようです。

RedHat系ではデフォルト値はラン・レベル = 3 になっているはずです。もしX-Windows Systemの設定でグラフィカル・ログインを選んだ場合はデフォルトのラン・レベルの値は5になります。

Debian系ではデフォルトのランレベルは2になっています。それは/etc/inittab を見るとわかります。

/etc/inittab (Debian Linuxの場合)
..
# The default runlevel.
id:2:initdefault:
...

デーモンを起動したり停止したりするためのスクリプトが /etc/init.d/ の下に置かれています。これらのスクリプトはstart, stop, restart といったコマンド引数を受け付けるように書かれています。

デーモンの自動起動

OSの run level に応じてデーモンは起動したり、停止したりします。これらは /etc/rc?.d/ の下にある

S NN NAME --- 起動(start)する
K NN NAME --- 停止(kill)する

というファイルで自動的に制御されています。最初の文字('S' または 'K')で、「起動」と「停止」を表します。 NNは数字で優先順位を表し、数字が小さいほど先に実行されます。 NAMEは /etc/init.d/ に置いたスクリプト名です。実は "/etc/rc?.d/[SK]番号NAME" は /etc/init.d/NAME へのシンボリック・リンクです。 'S' のときは start, 'K' のときは stop というコマンド引数で /etc/init.d/の下にスクリプトが実行されるわけです。

たとえば /etc/init.d/apache というスクリプトがあり、これに対して /etc/rc1.d/K12apache や /etc/rc2.d/S90apache という名前のシンボリック・リンクが張られているわけです。

デーモンの管理

デーモンを新たにインストールするのは以下の手順になります。

デーモンの実行ファイルをインストールする。
/etc/init.d/の下に、デーモンを起動または停止するスクリプトを作る。ただしそのスクリプトは start, stop, restart というコマンド引数を受け付けるようにしておく必要があります。
/etc/rc?.d/ の下から /etc/init.d/の下のスクリプトにシンボリック・リンクを張ります。ただし、シンボリックの名前は S か K で始まり、その後に数字、そしてスクリプト名が続きます。

update-rc.d

Debinaでは、デーモンの自動起動・停止を管理するためのソフトウエア update-rc.d が用意されています。

update-rc.d [-n][-f] サーバ名 remove
update-rc.d [-n] サーバ名 defaults [NN | NN-start NN-stop]
update-rc.d [-n] サーバ名 start|stop NN ランレベル ランレベル ...

オプション	動作
defaults	自動起動するように設定する。
remove	自動起動の設定を削除する。
NN	NNは順番を决めるための番号(小さい方が優先される)。
NN-start	自動起動のためのSNNというシンボリックリンクを作成する。
NN-stop	自動停止のためのKNNというシンボリックリンクを作成する。
-n	何も行わなずに、実行するコマンドを表示する。
-f	強制的にシンボリックリンクを削除する。

デーモン・プロセスのlog

デーモン・プロセスは入出力用の端末を持たないので、一般に「動作状況の報告」を syslog プロセスを通して記録します。 syslogプロセスの動作は /etc/syslog.conf で設定されます。

/etc/syslog.conf (RedHatの場合)
# Log all kernel messages to the console.
# Logging much else clutters up the screen.
#kern.*                                                 /dev/console
# Log anything (except mail) of level info or higher.
# Don't log private authentication messages!
*.info;mail.none;authpriv.none                          /var/log/messages
# The authpriv file has restricted access.
authpriv.*                                              /var/log/secure
# Log all the mail messages in one place.
mail.*                                                  /var/log/maillog
    (略)